【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
「よし、おしまい。体冷やす前に病室戻るよ」


終わった途端に看護師のように、すぐ退散を促す葉瑠さん。

後片付けをしているとき、遠くから、地響きのような音が聞こえた。


「あ、花火」

「え?ほんと?」


ふと呟いた菜摘の声に、葉瑠さんもあっさり片づけの手を止めて、遠くの空を見上げる。

しばらくして、また1発。凄く遠くの空に小さな花が咲いて、鈴が目を輝かせた。


「見えたっ!」

「ふふ、見えたねー、今年も楽しかったでしょ?」

「うんっ!楽しかった!」


満足した様子の鈴を連れ、さっと片付けた花火セットを抱えて屋上から出て行く葉瑠さん。

去り際、少し振り返って僕たちに向かって微笑む。


「あんまり遅かったら迎えに来るからね。できるだけ早く戻るんだよ」


そう言い残して満足そうに去っていく葉瑠さんを見送って、残された僕と菜摘は、目を合わせて笑う。

葉瑠さんは、やっぱり葉瑠さん。
厳しいけど、僕たちの友達だ。
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