【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
ざっと草むらを踏む足音が聞こえ、私は再び溢れそうになっていた涙を慌てて拭った。
「恭弥、綾羽ちゃん」
そこに現れたのは、シュンくんだった。
驚いたように固まる私たちを見て、眉を下げた彼。
「…いろいろ、抱えさせてごめん」
シュンくんだって、生前大翔と会って、私達と同じ話を聞いている。
それどころか、お見舞いにだって、私達よりも多く行って、大翔の最期も見届けて。
今も、菜摘をいちばん近くで支えている。
だから、シュンくんは、私たちよりもずっとずっと深く、このどうしようも無い思いに向き合っているはず。
…なのに……。
「なんで、謝るんですか」
恭弥まで震える声を出し、私は耐えきれず、また涙をこぼした。
「シュンくんが、一番、辛いはず…」
私でさえ、こんなにつらい。
なのに、菜摘を近くで支えて、大翔の思い出も持っていて。
そんなシュンくんが、どうして…。