【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
「あ、綾羽も恭弥も、どこ行ってたの!」


もうすっかり花火も使い果たした様子で、暗闇にともる蝋燭の周りで話していた4人。

その火のおかげで、赤い目にも気付かれずに済みそうで安心した。


「ちょっと、落とし物探しに」

「えー!?大丈夫?見つかった?」

「うん、見つかった」


簡単すぎる嘘を吐き、その輪に加わる。


「星、めっちゃ綺麗だね!ほらあれ、夏の大三角形!あとあの星がね…」


目を輝かせ、星を指さして話す菜摘に、皆は頷きながら耳を傾ける。


ねえ、菜摘。

菜摘は入院中に星が綺麗だったから、自然と好きになったって言ってたけど、もっと違う、大きな理由があるんだよ。


入院前には全くなかったその星の知識は、大翔に教えてもらったもの。

その事実にも胸が苦しくなるけど、
これまでとはまた違う、温かい気持ちも湧いてきた。


菜摘の中で、大翔の存在は確かに残っている。

いなくなってしまった彼を思い出すことは残酷だってずっと思っていたけど、そんなこと、ないんだ。


菜摘の中の素敵な思い出は、いつかきっと、顔を出す。
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