【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。

☆2

「ごめんね、待たせちゃってー」


処方された薬を抱え、薬局の駐車場で待つシュンくんの車に乗り込む。

車で時間を潰していたシュンくんは、にっこりと笑って私を迎え入れた。


「ううん。今日も寄り道付き合ってくれるんでしょ?」

「それはうん!もちろん!」

「なら、逆にありがたいから」


申し訳ないと思う、私の気持ちを取っ払うような明るい言葉。

私は、嬉しくて、勝手に上がってしまう口角を隠すようにシートベルトに手を掛けた。


「え、ここ?」

「そう、今、キャンペーンやっててさ、パイン増量のパフェ食べたくて」


数分車を走らせて到着したのは、
スイーツが定番人気の、可愛らしいカフェ。

スイーツ目当てで行くには、少し時間が遅いからか、並ぶことなく入ることができて、私は嬉しくなる。

実は、私もキャンペーンのことは知っていて、行きたいなと思っていたんだ。


「え、私も、パイン増量のタルト食べたかったの!」

「まじ?じゃあちょうど良かった」


嬉しそうにパフェとタルトの2つを注文してくれるシュンくん。


おしゃれなカフェに二人。

周りからの視線と、囁かれる「かっこいい」という声に、私は少し周りをキョロキョロした。

それとは対照的に、シュンくんは全く気にしていない様子で、メニューを眺めている。

黒のTシャツに、ブラウンのすらっとしたワイドパンツ。

シンプルな服装に際立つ明るめな髪と、シルバーのピアス。

やっぱり、かっこよさは際立っていて、私は少しドキドキしていた。
< 8 / 54 >

この作品をシェア

pagetop