血の味のする恋を知る
でも今までたくさんたくさんたくさんたくさんたくさん、数えきれないほどにわたしはいーっぱい兄さんにひどいことをされてきたんだからその分わたしが兄さんにそれを返してもいいよね?
腕はすでに捥がれていたからまずはわたしを蹴ったり踏みつけたその嫌いな足を切り飛ばした。うるさくて下品なことしか話さない喉も潰した。
じゃあ次はわたしに触れた悍ましい手を取ろう。ずっとそこにあると気持ち悪いもん。兄さん本体から離れたらそれはもうただの身体の一部としてしか認識できないからね。ということで風の刃で手首から切り落とす。
わたしの声が目障りだって言っていたし、聞く気もないのなら耳もいらないよね。両方千切り切る。わたしを見ていた目玉も不必要だよね。なによりわたしが見られているのだと思うと嫌なので乱雑に抉り出して床に放った。
じゃあ次は……、あ、よく兄さんが自慢していた男性の象徴も取ってしまおう。こんな不愉快なものを残しておいても世のためになるはずないし。何せ血の繋がった妹にですら使うのだ、わたしよりも頭の中がおかしいよね。
何度も何度も何度も何度も、身体のどこかをむしり取って真っ赤に染まっていく兄さんの姿に口角が上がる。
「ねぇ?痛い?苦しい?つらい?それとももう何も感じないのかなぁ?あっはは、でもそんなの認めないよ??だって兄さんはもっともっともーっと苦しんで苦しんで苦しみ尽くさないといけないんだからさぁ!!!」
わたしが味わった十何年分の苦しみを痛みを屈辱を絶望を恐怖を諦めを全部全部全部全部その身で体感してよ。だって兄さんがしてきたことなんだから本人が味わうのは当然のことだよね。それに全部が終わった後ならわたしも少しは溜飲が下がるかな。
だとしても一生兄さんへの憎悪は消えないけれど。
「あっはははははははっ!!!」