血の味のする恋を知る
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今日も魔物が出現したと要請があり部隊が駆けつけるも、すでに行方がわからなくなってしまったと言われた。そしてどうやら魔物ではなく魔人らしい。
光の世界と魔の世界が繋がってどちらかのものが落ちるのは珍しいことではないけれど、その時繋がる穴は小さいものなので人が落ちることは珍しい。
魔物と比べると魔人は当たり前だけど知能が高く、学習もする。そのため魔物を討伐するときよりもずっと被害が大きくなる。時間がかかればかかるだけ、比例して犠牲も増える。それにどうやら魔物よりも魔人の方がマナの必要量も多いらしい。
来るのが遅いから村の人間に犠牲が出たのだ、お前達のせいだと村人に怒鳴られ、石を投げられた。涙を流している人は犠牲になった人の家族だろうか、それとも友人だろうか。
額に石がぶつかり、生温いものが額から顔を伝って地面に落ちる。手で拭えばもう傷は塞がりかけていて化け物めと指をさされた。
姿形も、生きている世界も、交わす言葉も、この身に流れる血の色も同じはずなのに、どうしてわたしたちと彼らは違うものだと明確な線が引かれているのだろう。
きっとわたしが死んだあと、あんな風に泣いてくれる人はいない。