【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
 佐伯さんは確かに美人だった。
 色白で、艶々の長いダークブラウンの髪。
 身長も高く、手足が長い。
 大きな目に、瞳は明るいブラウン。

 何より、唇がぷるっぷる!
 一体何を塗ったらそんな唇になるのだろうか。一度聞いてみたかった。

 読者モデルをやっていると誰かが言っていたけれど、きっと事実なんだろう。
 少年漫画しか読まない私が知らないだけで。

 しかも、誰もが聞いたことのある有名レストランチェーンのお嬢様ということだった。
 それなら、自分に自信あって当然か……。

 とにかく、断れない状況に押し切られ、亮平は頷くことになったのだ。
 初彼女だ。

 たまたまその場に居合わせた私は、ただただ呆然と告白される現場を見ていた。
 ほんの少し、胸がチクッと痛んだような気がしたけど。

 でも、めちゃくちゃお似合いの二人なのだ。そりゃ、亮平も頷いちゃうよね。
 周りの目がなぜかこっちを向いているのが気になったけど、別に私は亮平の保護者じゃないのよ?

「なにあれ! ルール違反じゃん! 結衣子いいの?」

 と親友の真奈美に言われたが、良いも悪いももう頷いちゃってるじゃない。

「まあ、高校生になったんだからそろそろいいんじゃない? 部活ばっかで色気ないのもねぇ」

 なぜか真奈美の呆れた目。

「あんた……。それ、姉の意見よね」

 マジか……とぶつぶつ言っている。
 なんなんだろう? 
 私だってそろそろ彼氏が欲しい。ずっと内部進学で、あまりにも変わりばえのしない周囲の状況の中、これといった出会いもないのだけど……。亮平に先を越された様な気分で、ちょっと悔しかった。
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