【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
　私のスイーツの師匠は雅ちゃんだ。
　雅ちゃんは、老舗洋菓子店の社長令嬢だけあって、豊富な知識と並々ならぬ意欲を持って、スイーツに人生を捧げている。

　学生時代から雅ちゃんに連れられて、スイーツを食べ歩きをし、色々なことを教わった。

　材料や作り方、原材料の産地に至るまで。

　スイーツのお供のドリンク類についてももちろんこだわりが。

　このスイーツにはコレ。ここはコーヒーより断然紅茶よ。などなど、うんちくを聞かされた。まぁ、洗脳されてきたようなもの。

　だから私にとって、デカフェは雅ちゃんのオススメ通りムーンバックスコーヒー一択だった。

　レギュラーのスターブレンドより少し優しい味わいだけど、しっかりコクと苦味がある。カフェインの入っているものに対して遜色ない。

「じゃあ、デカフェは私と雅ちゃんだけかな。あとは普通のコーヒーでいいよね？」
「お義姉さん、私も飲んでみたいです！　デカフェって飲んだことないんですよ」

　じゃ、3人？　麗ちゃんは普通のだよね。

「ちょっと麗ちゃんにも聞いてきますね！」

　歳の近い李梨花ちゃんと麗ちゃんはすっかり仲良くなったようだ。

　あ、でも今廣澤くんとお話中じゃ……と思ったけど、意外なことに麗ちゃんはすぐにやって来た。

「ズルイですよ〜。私も皆さんと同じのが飲みたいです！」

　ということで、女子はデカフェということになった。
< 136 / 154 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop