【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
 人を笑顔にできる仕事か……。
 麗ちゃん、本当に真面目ないい子だね。

「医者としての俺のうしろ姿見て心を入れ替えたんじゃなくて、患者の家族としての俺? なんだよーそれー」

 プーッ‼︎
 みんな思わず吹き出した。
 確かに、先輩医師としての亮平の立場が……と思うけど、亮平らしい。

「亮平の結衣子愛が稲森さんの役に立ったってことだろう? めちゃくちゃ亮平らしいじゃないか」

 聖くんの言葉に、みんながウンウンと頷いた。

「稲森さん、みんなもっと意識低いよ?
 俺なんて、一浪で医学部入ったのも、理由なんて明白で、いずれ実家を継ぐためだ。
 もちろん、患者さんの笑顔は何ものにも変えがたいと思ってるけどね」
「俺だって、うちを継ぐために歯科医になった。深く考えたこともなかったな。
 李梨花なんて、俺と一緒にいるためだし」
「フフフ、私が一番不純な動機かも」
「俺は、自分の適正を考えたら、教師しかなかった感じかな。
 雅はスイーツへの情熱が半端ないから、HASEGAWAの広報の仕事は客観的に見ても天職だと思う。
 でもね、本当に一握りの人だよ。最初から志を高く持ってる人なんて、そうそういないよ」
「みなさん……私、今日ここに来られて良かったです。今までの私は、友達らしい友達もいなくて。それこそ、中学校くらいまで遡らないと親友っていないんです。上辺だけの付き合いをしてきたから。
 今日のホームパーティーに、結衣子さんが誘ってくれた時、『飾らない麗ちゃんで来てね』ってメッセージに書いてあって……。それ、私にとってかなりハードルの高いことで、正直焦ったんですよ。いつも自分を作っていたから。でも実際来てみると、結衣子さんがわざわざ書いてくれた意味がわかりました。自分を飾ってたら、今までみたいな上辺だけの付き合いしかできないって。逆になんで私、今まで誰に対しても構えていたんだろう⁇ って思いますね」
「麗ちゃん……」
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