【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「……ああ、怖いよ。すごく怖い。
 俺……あんな恐怖を感じたことはなかった。
 毎日大きくなっていくお腹を見て、すごく幸せだったんだ。俺と結衣子の血を受け継いだ正真正銘、愛の結晶だ。嬉しくて、幸せで、浮かれてた。
 それが、突然、失ってしまうかも……って。怖くて、怖くて……。出産を軽く考えてた自分を呪った。
 腹の子を失うだけじゃない。もし、万が一のことがあって、結衣子にも危険があったらどうしようって。
 お、俺……結衣子がいない生活なんて考えられない。俺の人生から結衣子がいなくなるなんて、考えたこともないんだ。お前は生まれてからずっと俺の傍にいたし、これからもずっと傍にいなきゃいけないんだ。
 それなのに、そんな危険に晒すなんて、俺には出来ない!
 ……鉄平はもちろん可愛い。俺の……俺たちの宝物だ。でも、もう鉄平一人でいいかなって思ってる……」

 あ、やべ……感情的になったら涙腺が……。

「……うん、うん。亮平の気持ちはわかったよ。怖かったね……。怖い思いさせたね」
「……だー?」

 いつの間にか、鉄平が足元に来ていた。俺の様子がおかしくて、心配したのか……。
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