【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「さっき、麗ちゃんの話聞いて……やっぱりそうだったんだって、さすがにわかっちゃった……」

 なんとか気持ちを落ち着けようと、鉄平を抱っこする。鉄平の重みが、俺を落ち着かせてくれる。

「私はね、亮平が怖いならいいよ。そりゃ、鉄平にも弟妹がいたらいいかな、って思う。賑やかだと寂しくないだろうし。でもね、今、3人でも充分幸せ。だから、無理しなくていいんだよ」

 こいつは……自分の気持ちに蓋してでも、俺の心を第一に考えてくれる。
 いつもだ。いつもそうだった。でも……俺は……。

 鉄平……やっぱり一人は寂しいよな。
 ずっと俺が遊んでやるって言っても、俺は兄弟じゃない。父親だ。

 あれだけ歳が離れてたけど、それでも小さい頃兄姉に遊んでもらった記憶はある。むしろ大人になった今の方が、話も出来るし、兄弟で飲みに行くこともある。

 鉄平からそんな機会を、俺が奪うのか……。

 出産が、その時々によって違うのもわかってる。トラブルがある時もあれば、何もなく平穏に生まれることもあるんだ。頭ではわかってる。でも……。

 本当は、結衣子だってまだまだ産みたいはずだ。妊娠が高齢化している今、最低でもあと10年は妊娠適齢期だ。俺の我儘で、押し通していいのか……?
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