【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「……ごめんなさい。出過ぎたことを言って……」

 聖くんだって、本当はわかっているはず。

「いや、いいんだ。ありがとう。……そうだよなぁ。雅が朝倉さんと一緒になった方が、経済的にも社会的にも今より恵まれて幸せになれる、って思い込んでた。朝倉さんが訪ねてきて、ちょっと……いや、かなり動転してたみたいだ」

 目が覚めたよ、と穏やかな笑顔。
 良かった。いつもの聖くんだ。

「雅ちゃん、待ってるよ」
「ああ。これから会って話し合うよ。プロポーズ、してくる」
「うん! 頑張って!」
「……結衣子も、あいつ研修医になったしそろそろだろう?」
「あいつって、亮平? 私達はそんなんじゃないんだけど……」 

 付き合ってるわけじゃないから、そう言うと、ポカンと口を開けて私を見る。

「え? え? いや、付き合ってるよね⁉︎ 」
「付き合ってないよ〜。私、彼氏いない歴実年齢っていう残念女子なの」

セフレはお付き合いしていると言えないだろう。間違ってない。うん。

「や、でも! 俺たち、4人で旅行行ったじゃないか、今年のゴールデンウィーク。2人、同じ部屋だったよね?」

 あー、たしかに行った。
 それに、亮平と2人部屋だった。

「それは! ……聖くんと雅ちゃんが2人部屋なんだから、部屋割り、自然とそうなっただけでしょう?」
「……何もなかったって言うの?」

 ……あったな。

「そこは、まあ、いい大人ですからねー……」

 突っ込まないでそっとしておいて欲しいな。
< 24 / 154 >

この作品をシェア

pagetop