【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
 雅ちゃんと別れて駅の改札に向かったところで、バッグの中のスマホが震えた。着信音も聞こえる。亮平だ。

「亮平? どうしたの?」
「……おまえ、今どこだ?」

 周りが騒がしい。亮平も外だな。

「◯◯駅だよ。今、改札を入るところ」
「東口に来てくれ……交番のとこ」

 東口? 飲み屋街の方だな。

「ひょっとして、飲んでるの?」
「……飲むか。未成年だぞ」

 そうだよね。真面目な亮平が外で飲むとは思えない。

「わかった。もうそっちに向かってるから、あと1分くらいで着くと思う」

 交番の前のベンチによく知った人影があった。でも様子がおかしい。

「亮平⁉︎ どうしたの?」
「吐きそう……」

 え、アルコール飲んでないんでしょう⁇

「マジ、もうムリ……うっっ」
 
 え、え、どうしよう!

「交番でトイレ借りる? コンビニでレジ袋もらう?」
「いや……どこかで休みたい……」
「そこの道曲がったところに、公園があったよね。そこまでいこ! 歩ける?」
「ん……」

 亮平を支えてなんとか公園に向かう。
 身長差25㎝。わたしも身長は平均的にある方だけど、亮平の身長で乗りかかられると圧迫感が半端ない。
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