【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
 問題はそこからだ。

 泣き止んだ雅の行動は早かった。速攻で雅のご両親と、俺の母親にまで連絡し、その日のうちに両家の顔合わせ。
 両家が揃うまでに、朝倉に断りの電話も入れた。

「今後は良き仕事のパートナーとして」

 と、バッサリ切っていた。
 怒涛の展開について行けなかったのはどうやら俺1人だったようだ。

 元々、母親同士は子供が幼稚園に入った時からのママ友。
 
「プロポーズされたよ!」
 
 の一言で、料亭の個室が用意されただけじゃなく、親父たちに、双方の弟妹まで顔を揃えていた。圧巻の連携プレーだ。
 グズグズの俺は、弟妹からも超ヘタレ扱い。ま、事実なんだけど。

 とにもかくにも、俺と雅の婚約は無事調った。来週には結納を済ませて、入籍する予定だ。
 式は母校の大聖堂で。そこは坂上家が譲れないところ。もちろん、雅の家族も賛成してくれている。

 たった1日。いや、正確に言うと、たったの4時間ほどで全てが決まった。
 俺がグズグズしてる間に、ひょっとしたら細部まで話は進んでいたのかもしれない。
 朝倉には悪いが、あいつが背中を押してくれたようなもんだな。
 朝倉、グッジョブ!

< 38 / 154 >

この作品をシェア

pagetop