【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「真面目に研修医やってるみたいだな」
「あったりまえだ。枚岡のおじさんと約束してるからな。研修終わったら、即、籍入れる!」

 ……そう、コイツはめちゃくちゃ一途に結衣子を想っている。
 将来の事もちゃんと考えているし、実は周りは皆んな知っている。

 しかし、何故だ? 結衣子だけ知らないなんて……。

「あ、そうだ。婚約おめでとう! やっとかよ〜。お前、待たせ過ぎだろ。プロポーズして、雅に殴られたんじゃないのか?『遅い!』ってよー」

 ……まあ、殴られてはないけど、八割方合ってる。

「どこまで聞いてるか知らないけど、たった4時間で、プロポーズから両家顔合わせまで完了。来週には結納と入籍だ。後は全部、雅と母親達でサクサク決めて進んでいくだろう。新婚旅行までな。住むところもさっき決まったみたいだし。10分前にメッセージで住宅情報が届いた。……雅の父親から」
「……スゲーな。お前、マリッジブルーになるんじゃないか? 大丈夫か?」

 さすがに心配してくれる。態度は悪いが、良き弟だ。

「いや、俺にはこれくらいが合ってる。大丈夫だ」

 まぁ、聖ヘタレだもんな〜、と目の前でディスられる。
 前言撤回。口の悪い弟だ。
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