【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
 落ち着け。
 亮平のペースに巻き込まれると、まともに話が出来ない。
 雅の言う通りだ。
『亮平は偏差値高いけど、結衣子バカだからね。すぐ暴走するから。本当に聖1人で話出来るの?』
 ……出来る気がしない。

 いや、ちゃんと言う。これでも教師だ。どんな生徒でも投げてはいけない。

「昨日な《結衣子の部屋》で話したんだよ。まあ、主に俺と雅の話だけど」
「あー、保健室ね。なんかエロいよな、《結衣子の部屋》って」
「……生徒が付けたんだぞ。慎め」
「で、なに?」
「……お前さ、さっきも言ったけど、ちゃんとお前の気持ち、結衣子に伝わってるのか? 悪いけど俺は伝わってないように思ったけどな」

 亮平が整った眉を寄せて、意味がわからないと言う顔をする。

「結衣子がな、『彼氏はいない。いたこともない。彼氏いない歴実年齢だ』って言ったんだ」
「は? なんだそれ⁉︎  じゃあ俺はなんなんだよ!」

 うん。まあ、そうなるよな。

「お前さ、ちゃんと言葉に出して愛情伝えてるか?」
「そりゃ……あれだ。面と向かっては言わないけど……。でも、抱く時はちゃんと言ってるぞ!」
「なんて?」
「あいつ、めちゃくちゃ可愛いからな。
 可愛い! 最高だ! ってちゃんと言ってる」
「それは、お前の“感想”だ。百歩譲って良く言ったとしても“褒める”だ。執着は感じても愛情は感じないな」

 固まる亮平。
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