【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「失礼しまーす!」

 え、聴き慣れた声。え、え、なんで?

「亮平⁉︎ なんでここに居るの⁇ 」

 そう、私の生まれた時からの幼馴染で、今は旦那様の藤田亮平だ。

「なんでって、迎えにきたんだ」

 迎えに……? 初めてのことなんだけど。
 学校が終わるような時間に、亮平の仕事が終わることはない。

「今日、保健所の三歳児健診に急遽代理で行ってたんだ。直帰でいいって言われたから、帰りに寄った。学校の前にコインパーキング出来たんだな。そこに停めてきた」

 亮平は大学附属病院に勤める小児科医だ。
 聞けば、三歳児健診に入る医師の1人が食中毒にあったという。

 そこで代診をなんとか出来ないかと保健所から大学に依頼があったそうだ。

「それは大変だったね。でも、まだ終業時間じゃないよ? 今6時間目なの。先に校長先生にご挨拶に行ったら?」

 現在の校長、河野先生は私達の元担任だ。

「いや、もう行ってきた。さすがに挨拶もせずに《結衣子の部屋》に来たらマズいだろ。……お前、それよりその格好なんだよ⁉︎」
「え、格好? なんか変? どこか汚れてる⁇」
「なんで白衣なんて着てるんだよ!」
「……ハイ?」

 ……意味がわからない。保健室の先生なんだけどね、私。

「いやいや、保健室の先生が白衣着てないとおかしいよね? ごく普通のことだと思うけど?」

 なんか、顔を真っ赤にして口元を押さえている。
 あ、なんかコレ、良からぬことを考えてるな。
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