【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
 オレンジジュースを飲み終わった琢磨が、氷を欲しかったのだろう。

「たっくん、ちょっと待ってね〜」

 と母が言った後、グラスから手掴みで氷を取り、その氷を自分の口に入れた。

 何をしているんだ⁇

 と思った次の瞬間、母は氷を噛み砕き、その噛み砕いて小さくなった氷のカケラを自分の口から取り出し、琢磨の口に含ませた。

「……‼」

 衝撃の瞬間だった。
 俺も結衣子もその光景を見て凍りついたのは言うまでもない。

 ありえない!

 口の中には雑菌がいっぱいだ。3歳までのケアで歯の一生が決まると言っても過言ではない!
 だから3歳になるまでは食事の取り分け時にも別箸を使う、これは基本だろ⁉︎
 
 ミュータンス菌に最大限の注意を払わないといけないこの時期に、ババアが噛み砕いた氷を食べさせる⁉︎
 
 もう一度言うが、ありえない!
 
 俺は歯が生え始めた頃から、隣の麻衣子おばさんの徹底した歯磨き指導のお陰で、大人になった今でも虫歯1つない。
 もちろん、結衣子と光太郎もだ。

 あまりの衝撃に、俺は吐き気を催した。
 実際、トイレに駆込み本気で吐いた……。

 ひょっとして……俺も、アレ、やられてたのか?
 いやいやいや! いまだに虫歯とは無縁だ。大丈夫だ、きっと……。
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