【完全版】俺様幼馴染の溺愛包囲網
「開けてみろよ」

 見るからにジュエリーだとわかる長細い箱。開けてみると、出てきたのは、ゴールドで天使を象ったペンダントだ。
 ワンポイントに天使の矢にダイヤが光る。

「うわー! 可愛い! すっごく可愛いよ! 亮平、ありがとう!」
「俺たちの間に天使がやってきたからな。その記念だ。つけてやる」

 そう言って、結衣子の首につけてやった。

 ……白いうなじから、結衣子のシャンプーの匂いがふわっと漂う。
 ……やべっ! 反応しそうだ。

 ドレッサーまで見に行く結衣子。離れてホッとする。

「可愛い……甘過ぎないデザインだから、ずっとつけてられるわ。亮平、ありがとうね」
「似合ってる」

 良かった、喜んでくれた。

「……それで、話ってなんだ?」

 そっちの方が気になる。

「あ、うん。あのね……」

 なんか勿体ぶるなぁ。

「その、安定期に入ったの」

 おう。もちろんわかってるぞ。

「あ、その、山口先生と話してて…………あ、お母さんとも話してたんだけどね。安定期に入ったら戌の日に腹帯をもらいに行くのよ」
「あー、それ、たまごスクールで読んだな」
「それそれ! ちょっと過ぎちゃってるんだけどね。12月は忙しかったから。……でね、お父さんに車出してもらってもいいんだけど、亮平が休み取れるなら一緒にどうかなぁと思って――」

 なんだ、そんなことか。
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