離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
「そうだよな。琴葉の体、もうすごく熱くなってる」

「……っう。そういうこと言わないで」

 わかっていても指摘されると恥ずかしい。

「照れなくてもいいのに。いっぱい反応してくれる琴葉。無茶苦茶かわいいよ」

 そうやってもっと私をドキドキさせるのやめてほしい。ただでさえ、胸が張り裂けそうなほどドキドキとうるさく、体はすでにしっとりと汗ばんでいる。

 私が煽ったなんて言って来るけど、いつだって意地悪にせめてくるのは彼なのに。

 そんな抗議をしようとも、彼に翻弄されている私には無理だった。背中にキスを落とされながら、ゆっくりと身に着けたものをはがれていく。

 ゆっくり一枚ずつ脱がされているのが恥ずかしい。

「脱がすなら、早くして」

 耐えられずにそう訴えると、彼は笑いながら言った。

「どうして? すごく楽しいのに」

「はずかしいから、やだ」

「だからいいんだろ。もっと恥ずかしがっている顔が見たい」

「変態」

「上等だ」

 どうせなにを言っても彼は聞いてくれないだろう。ベッドでの彼は普段とは違い私を傍若無人にかわいがる。私もそれを受け入れてしまい、どっちもどっちなので彼を責めることはできない。

 宣言通り私をゆっくりと生まれたままの姿にした彼は、自分の服はあっという間に脱いでしまった。

 体温を感じる素肌同志のふれあいは、羞恥心もあるが心地よい興奮を与えてくれる。彼の腕につつまれていると、この世の幸せを独り占めできるような気持ちになれる。

 肩口にキスをされたあと、あおむけにされた。彼の肩越しに天井が見える。

「琴葉、綺麗だな」

「……なに、急に」

 恥ずかしくてつっけんどんな言い方をして、顔を背けてしまう。するとあらわになった耳に彼が舌を這わせた。その動きが早くて、まるで最初からそうするつもりだったのかとさえ疑いたくなる。

「あっ……ん」

 思わず漏れた自分の声が羞恥心を煽る。私はこれ以上声を出さないように口元を押さえたけれど、すぐに彼の手が伸びてきてそのまま指をからませて枕もとに持っていく。

「せっかくの琴葉の声が聞こえなくなるじゃないか」

「だって、恥ずかしい」

「何度言わせるんだよ。俺は琴葉に恥ずかしい顔させたいんだ」

 ニヤッと笑った彼は、私の首筋に顔をうずめると、小さな痛みを感じるほど強く吸い付いた。
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