離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
 そしてそのあとゆっくりと私の体にキスを落としながら、私の体に優しく触れる。

 手のひらの大きさと熱を感じながら、キスで与えられる直接的な快感に体が熱くなっていく。

「玲司……んっ」

「琴葉、かわいいよ」

 彼の声や吐息すら、私を刺激していく。彼のすべてに翻弄された私は快感に身をゆだねるだけで精いっぱいだった。

 何度か湧き上がってくる愉悦の波が大きくなっていく。

「玲司、これ以上はもう」

 涙目で限界だと訴えかけた私の頬に手を添えた彼は頬にキスを落とした。そしてそう間を置かずに彼とひとつになる。

「はぁ……琴葉。しばらくこのままでいてもいいか?」

 体を密着させたまま、彼は吐息交じりの声で求めてきた。私は『はい』の返事代わりに、彼の背中に手を回してギュッと抱きついた。

「そんなかわいいことされると、無理させたくなる」

 ため息交じりに言う彼に、私は告げた。

「我慢しないで、玲司の全部ぶつけていいから」

 今日は彼のすべてを受けとめたかった。そうすることがなによりも私に幸せに思うから。

「悪い。優しくできない」

 彼は体を起こすと、少し乱暴だと思えるほど激しく私を求めた。なにもかも忘れて彼と愛を交わす。

「琴葉、愛してる。琴葉……」

 彼に名前を呼ばれ、愛の言葉を囁かれて、心も体も満たされていく。私の中のかけていたものすべてが、もとに戻っていく。

 お互いの汗ばんだ体を抱きしめ合って、濃密な夜がふけていく。私たちは時間も気にせずお互いを求め合った。



 どれくらい眠ってしまっていたのだろうか。目覚めるとフロアランプで部屋が照らされていて薄暗い。どうやら日はすっかり落ちてしまったようだ。

「起きたのか?」

「……こほっ、うん」

 かすれ声で返事をすると、彼がすぐにキッチンからミネラルウォーターを取ってくれた。

 ごくごくと飲み干すと、渇いた体が生き返るようだった。

「おいしい。ありがとう」

 半分残ったペットボトルを手を差し出した玲司に渡すと、彼は残りをおいしそうに飲みほした。

「悪かったな、無理させて」

 手で濡れた口元を拭いながら、少し気まずそうに私のほうを見ている。

「まぁ〝煽った〟のは私だから謝らなくていいよ」

 自分でもその自覚があるので、玲司だけを責めるのは違うような気がする。

「煽った自覚はあるんだな」

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