離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
彼の反応を見て、やっぱり前もって彼に話をしておいてよかったと思う。職場ではあまり詳しく話ができないだろうから。
私はこれまでの経緯をかいつまんで話をした。
「私だって四年前に別れた夫が、中野社長の代わりにやってきて驚いたのよ。それに最初は私も彼ともう一度やり直すつもりはなかっんだから」
しかし話をしているうちに、君塚は気がついたようだ。
「もしかして、あのとき俺が言ったことがきっかけで、再婚が決まったのか?」
ショックを受けた君塚に、どう伝えればいいのか悩む。
たしかにあのとき、私が元夫を今でも愛してるとその張本人である玲司に伝えたのは、君塚だ。
沈黙は肯定だと判断した君塚が頭を抱えている。
「俺、なんてマヌケなんや。敵に塩を送っとったんか」
絶望の表情に、どう声をかけたらいいのかわからない。ここで間違っても君塚のおかげでうまくいったなんて言ってはいけない。そのくらいの常識は私にもある。
だからなにも言わずにとりあえず、だまって君塚が落ち着くのを待った。
しばらくして彼が大きなため息をついた。
「それで、琴葉は今幸せなんか?」
「うん、幸せ」
君塚には自分の本音を言う。それがまっすぐに私に気持ちをぶつけてくれた彼に対する誠意だ。
「そうか、それならよかった」
それまで視線をそむけていた彼が、笑顔でこちらを見る。
「俺は心が太平洋のごとく広いから、好きだった女の幸せを心から祈れるんや」
わざと胸を張って見せる彼のやさしさに、私は救われた。
「だから心配せんでええで。この俺様とつき合いたい女の子は五万とおるからな」
たしかにそれは彼の言う通りだろう。もともと君塚はモテるのだから。
「さて、これ以上ここにいたら、朝のミーティング遅れてしまう」
君塚に続いて私も立ち上がる。
外に出て少し前を歩き出した彼に、声をかけた。
「君塚、ありがとう」
彼は振り返るとにっこりといつもの笑顔で笑った。
「なにあらたまってるんや、俺たち同期やろ?」
「そうだね」
短く帰して、君塚の横に並んで歩き出した。また大切な同期として一緒にいてくれる彼に感謝しながら。
しかし会社に到着する前の駐車場に、見慣れた車が止まってあるのに気がついた。そしてそこにもたれかかっている人物も。
「あれ、社長ちゃうんか?」
「うん、そうだけど……」
私はこれまでの経緯をかいつまんで話をした。
「私だって四年前に別れた夫が、中野社長の代わりにやってきて驚いたのよ。それに最初は私も彼ともう一度やり直すつもりはなかっんだから」
しかし話をしているうちに、君塚は気がついたようだ。
「もしかして、あのとき俺が言ったことがきっかけで、再婚が決まったのか?」
ショックを受けた君塚に、どう伝えればいいのか悩む。
たしかにあのとき、私が元夫を今でも愛してるとその張本人である玲司に伝えたのは、君塚だ。
沈黙は肯定だと判断した君塚が頭を抱えている。
「俺、なんてマヌケなんや。敵に塩を送っとったんか」
絶望の表情に、どう声をかけたらいいのかわからない。ここで間違っても君塚のおかげでうまくいったなんて言ってはいけない。そのくらいの常識は私にもある。
だからなにも言わずにとりあえず、だまって君塚が落ち着くのを待った。
しばらくして彼が大きなため息をついた。
「それで、琴葉は今幸せなんか?」
「うん、幸せ」
君塚には自分の本音を言う。それがまっすぐに私に気持ちをぶつけてくれた彼に対する誠意だ。
「そうか、それならよかった」
それまで視線をそむけていた彼が、笑顔でこちらを見る。
「俺は心が太平洋のごとく広いから、好きだった女の幸せを心から祈れるんや」
わざと胸を張って見せる彼のやさしさに、私は救われた。
「だから心配せんでええで。この俺様とつき合いたい女の子は五万とおるからな」
たしかにそれは彼の言う通りだろう。もともと君塚はモテるのだから。
「さて、これ以上ここにいたら、朝のミーティング遅れてしまう」
君塚に続いて私も立ち上がる。
外に出て少し前を歩き出した彼に、声をかけた。
「君塚、ありがとう」
彼は振り返るとにっこりといつもの笑顔で笑った。
「なにあらたまってるんや、俺たち同期やろ?」
「そうだね」
短く帰して、君塚の横に並んで歩き出した。また大切な同期として一緒にいてくれる彼に感謝しながら。
しかし会社に到着する前の駐車場に、見慣れた車が止まってあるのに気がついた。そしてそこにもたれかかっている人物も。
「あれ、社長ちゃうんか?」
「うん、そうだけど……」