離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
たしかに春香なんかは、玲司が出社した日のほうが、目の保養ができたからとかいって、張り切って仕事をしているような気がする。
ふたりでエレベーターで上に上がると、始業時刻ギリギリということもありほとんどの人が出社していた。
もちろんその中に、さっき別れた君塚の姿もあった。
「あれ、社長室にいかないんですか?」
ふと私に続いてフロアに入ってきた玲司に尋ねた。
「あ、いいんだ。ここで問題ない」
はっきり言い切った彼は、社内のみんなが見える位置に立った。私はいつものお気に入りの席がまだあいていたので、そっちに向かって歩き出す。
「ちょっと、待って」
「えっ、まだなにかあるんですか?」
急に手を掴まれて足を止めた。
「まだっていうか、今からが今日俺がここに来た目的だから」
小さな声でそう言って、私をひきよせるといきなり腰のあたりに手を添え、フロアに向かって声をあげた。
「朝の忙しい時間にすまないが、少しだけ話を聞いてもらっていいいか?」
え、どういうこと?
嫌な予感がして逃げようとしたけれど、それに気が付いた彼に腰を引き寄せられて余計に密着してしまった。
みんなが「何事だ?」という視線を私と玲司に向けていた。
私はこれからなにが起きるか半ば予想ができていたけれど、こんな短時間で覚悟を決めるなんてできない。
「実は、今日はみんなに報告がある。私はここにいる鳴滝琴葉さんと結婚することになりました」
いっきにフロアがざわざわする。私の目の前にいた春香は口をあんぐりと開けていた。
「突然の報告になって驚かせてすまないが、これからも妻と一緒にこのライエッセを大きくしていこうと思う。もちろん皆さんの力を借りながらになります。これからも今までと変わらず接してもらえたらと思います」
玲司が言い終わったあと、すぐに大きな拍手がフロアに響いた。君塚が大きな声で「おめでとうございます」と言うと、周囲もそれにならい、私たちは大きな拍手の渦に包まれた。
「騒がせて悪かった、みんな仕事に戻ってくれ」
玲司はそう言うと、私の手を引いてフロアを出ていく。そんな彼に小声で抗議する。
「ねぇ、どうしてひと言も相談してくれなかったの?」
「さっき思いついて、相談する時間がなかったんだ」
「絶対うそでしょ?」
詰め寄る私に彼はとぼけ顔で笑っている。
ふたりでエレベーターで上に上がると、始業時刻ギリギリということもありほとんどの人が出社していた。
もちろんその中に、さっき別れた君塚の姿もあった。
「あれ、社長室にいかないんですか?」
ふと私に続いてフロアに入ってきた玲司に尋ねた。
「あ、いいんだ。ここで問題ない」
はっきり言い切った彼は、社内のみんなが見える位置に立った。私はいつものお気に入りの席がまだあいていたので、そっちに向かって歩き出す。
「ちょっと、待って」
「えっ、まだなにかあるんですか?」
急に手を掴まれて足を止めた。
「まだっていうか、今からが今日俺がここに来た目的だから」
小さな声でそう言って、私をひきよせるといきなり腰のあたりに手を添え、フロアに向かって声をあげた。
「朝の忙しい時間にすまないが、少しだけ話を聞いてもらっていいいか?」
え、どういうこと?
嫌な予感がして逃げようとしたけれど、それに気が付いた彼に腰を引き寄せられて余計に密着してしまった。
みんなが「何事だ?」という視線を私と玲司に向けていた。
私はこれからなにが起きるか半ば予想ができていたけれど、こんな短時間で覚悟を決めるなんてできない。
「実は、今日はみんなに報告がある。私はここにいる鳴滝琴葉さんと結婚することになりました」
いっきにフロアがざわざわする。私の目の前にいた春香は口をあんぐりと開けていた。
「突然の報告になって驚かせてすまないが、これからも妻と一緒にこのライエッセを大きくしていこうと思う。もちろん皆さんの力を借りながらになります。これからも今までと変わらず接してもらえたらと思います」
玲司が言い終わったあと、すぐに大きな拍手がフロアに響いた。君塚が大きな声で「おめでとうございます」と言うと、周囲もそれにならい、私たちは大きな拍手の渦に包まれた。
「騒がせて悪かった、みんな仕事に戻ってくれ」
玲司はそう言うと、私の手を引いてフロアを出ていく。そんな彼に小声で抗議する。
「ねぇ、どうしてひと言も相談してくれなかったの?」
「さっき思いついて、相談する時間がなかったんだ」
「絶対うそでしょ?」
詰め寄る私に彼はとぼけ顔で笑っている。