離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
けれど最愛の彼になにかしてあげたい。私ができたことは、彼の手を握ることだけだった。
彼はハッとしたように私のほうを見て、そして私の手に自分の反対の手を重ねた。
ちゃんと私の気持ちを汲み取ってくれた。
彼は顔を上げて、お義母さんの顔を見ている。その表情は強張っていたけれど、なんとか笑みを浮かべてようとしていた。
「母さんがずっと、ひとりの男性の写真を大切にしているのを知っていた。それがおそらく自分の父親だっていうことも。でもその人についてこれまで尋ねなかった、自分の選択だから。母さんが自分を責めるのは間違っていると思う」
「玲司っ……」
それまで気丈にふるまっていたお義母さんの目に涙が浮かんだ。
「母さんを責めたいわけじゃなかったんだ。ただ事実を知りたかっただけ。本当にその北山って人が自分の父親なのかと」
「それは間違いないわ。でもどうして急に……これまで一度だって連絡がなかったのに」
その言葉から、お義母さんは本当に先方にはなにも告げずに出産と子育てをしたようだ。そうとう芯の強い人でなければ、成し遂げられることではない。
その強さを、玲司はしっかりと受け継いでいるのだと思う。
「向こうが会いたいと言ってきているのね?」
「そうなんだ」
「玲司の好きにするといいわ。とにかく後悔のないようによく考えてね」
お義母さんは玲司にすべて任せるつもりらしい。
「わかった。また連絡するから」
そういってた違った玲司にならい、私も席を立つ。
玄関に向かって歩いていた玲司が、振り返った。
「母さん。俺、母さんの子供でよかったってずっと思っているから」
その玲司の言葉にお義母さんだけでなく、私も泣きそうになった。
きっと色々なことがあっただろう。彼の母親を思う優しさに涙が出てしまう。
お義母さんに見送られて、車で自宅マンションに向かう。
「なぁ、なんで琴葉が泣いてるの?」
「だって、なんだかもう胸がいっぱいで」
「別にそんなに苦労した人生じゃないから、俺。むしろみんなに羨ましがられてるし。知ってるだろ、イケメンで仕事もできてそのうえかわいい嫁もいる」
「玲司」
私は笑みを浮かべて、彼の顔を見つめた。
「それでどうするつもりなの? 北山さんのこと」
なんとなくお義父様というのに気が引けて、名前で呼んだ。
彼はハッとしたように私のほうを見て、そして私の手に自分の反対の手を重ねた。
ちゃんと私の気持ちを汲み取ってくれた。
彼は顔を上げて、お義母さんの顔を見ている。その表情は強張っていたけれど、なんとか笑みを浮かべてようとしていた。
「母さんがずっと、ひとりの男性の写真を大切にしているのを知っていた。それがおそらく自分の父親だっていうことも。でもその人についてこれまで尋ねなかった、自分の選択だから。母さんが自分を責めるのは間違っていると思う」
「玲司っ……」
それまで気丈にふるまっていたお義母さんの目に涙が浮かんだ。
「母さんを責めたいわけじゃなかったんだ。ただ事実を知りたかっただけ。本当にその北山って人が自分の父親なのかと」
「それは間違いないわ。でもどうして急に……これまで一度だって連絡がなかったのに」
その言葉から、お義母さんは本当に先方にはなにも告げずに出産と子育てをしたようだ。そうとう芯の強い人でなければ、成し遂げられることではない。
その強さを、玲司はしっかりと受け継いでいるのだと思う。
「向こうが会いたいと言ってきているのね?」
「そうなんだ」
「玲司の好きにするといいわ。とにかく後悔のないようによく考えてね」
お義母さんは玲司にすべて任せるつもりらしい。
「わかった。また連絡するから」
そういってた違った玲司にならい、私も席を立つ。
玄関に向かって歩いていた玲司が、振り返った。
「母さん。俺、母さんの子供でよかったってずっと思っているから」
その玲司の言葉にお義母さんだけでなく、私も泣きそうになった。
きっと色々なことがあっただろう。彼の母親を思う優しさに涙が出てしまう。
お義母さんに見送られて、車で自宅マンションに向かう。
「なぁ、なんで琴葉が泣いてるの?」
「だって、なんだかもう胸がいっぱいで」
「別にそんなに苦労した人生じゃないから、俺。むしろみんなに羨ましがられてるし。知ってるだろ、イケメンで仕事もできてそのうえかわいい嫁もいる」
「玲司」
私は笑みを浮かべて、彼の顔を見つめた。
「それでどうするつもりなの? 北山さんのこと」
なんとなくお義父様というのに気が引けて、名前で呼んだ。