離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
「玲司がどう思っていようと、このケガは私の責任だから。一生背負って生きていく」
彼の膝に手をあててそういうと、複雑そうな表情を浮かべた。
「原因は、色々な不幸が重なったとしか言いようがない。琴葉がそこまで罪悪感を持つ必要はないんだよ。だけど俺のことを琴葉が心配してくれているのはうれしい」
「心配だけならずっとしてた。そんなことで喜ばないで」
思わず彼を睨みそうになった。ただ彼が本当にうれしそうな顔をしていたので、つられて笑ってしまった。
「いたたっ……」
「あっ、大丈夫?」
心配になって彼の顔を覗き込む。
「悪い調子にのった。琴葉心配ついでにお願いを聞いてもらえるか?」
「はい、なんでしょうか」
この状態の玲司を放っておけるほど、非常識じゃない。
「悪いがマンションまで送ってもらえると助かるんだが」
「はい、もちろん。もともとそのつもりでしたから」
私が答えると、彼はうれしそうに笑った。その笑顔は普段外向きのものとは違う。四年目と同じ笑顔を彼は私に向けていた。
彼を支えながら、タクシーに乗り込む。二十分ほどした場所にある高層マンションが今の彼の住まいだ。
足の痛みはずいぶんましになったのか、少し引きずりながらだが自分で歩けるようになっていてホッとした。しかし負担をかけるのはよくないので荷物は私が運んだ。
「助かるよ。ほかの人にこういう姿は見せないほうがいいから」
会社のトップの体調不良などが、会社の不安につながったりもする。
だから中野社長も近しい間柄の私や君塚にさえ自身の体調については話をしていなかった。
「ちょうど気がついてよかったです。忘れ物を取りに戻ったんですけど、たまには私のおっちょこちょいも役に立ちますね」
エレベーターの中で肩をすくめて見せると、彼がほほ笑んだ。
部屋の鍵はスマートキーになっているらしく、彼が近付くと自然に解錠された。
「これってうちのシステムじゃないですか?」
「あぁ。気に入っているよ。できれば自分がいいと思ったものを顧客に販売したいから中野社長に言って導入した」
ライエッセの仕事内容をしっかりと理解し、私たちとともに大きくしようとしてくれているのだと実感できた。
最初は業界のことを知らない素人が社長になったと眉を顰める社員もいたけれど、彼のこういうことろを見て、今となってはみんな彼に信頼をよせている。
彼の膝に手をあててそういうと、複雑そうな表情を浮かべた。
「原因は、色々な不幸が重なったとしか言いようがない。琴葉がそこまで罪悪感を持つ必要はないんだよ。だけど俺のことを琴葉が心配してくれているのはうれしい」
「心配だけならずっとしてた。そんなことで喜ばないで」
思わず彼を睨みそうになった。ただ彼が本当にうれしそうな顔をしていたので、つられて笑ってしまった。
「いたたっ……」
「あっ、大丈夫?」
心配になって彼の顔を覗き込む。
「悪い調子にのった。琴葉心配ついでにお願いを聞いてもらえるか?」
「はい、なんでしょうか」
この状態の玲司を放っておけるほど、非常識じゃない。
「悪いがマンションまで送ってもらえると助かるんだが」
「はい、もちろん。もともとそのつもりでしたから」
私が答えると、彼はうれしそうに笑った。その笑顔は普段外向きのものとは違う。四年目と同じ笑顔を彼は私に向けていた。
彼を支えながら、タクシーに乗り込む。二十分ほどした場所にある高層マンションが今の彼の住まいだ。
足の痛みはずいぶんましになったのか、少し引きずりながらだが自分で歩けるようになっていてホッとした。しかし負担をかけるのはよくないので荷物は私が運んだ。
「助かるよ。ほかの人にこういう姿は見せないほうがいいから」
会社のトップの体調不良などが、会社の不安につながったりもする。
だから中野社長も近しい間柄の私や君塚にさえ自身の体調については話をしていなかった。
「ちょうど気がついてよかったです。忘れ物を取りに戻ったんですけど、たまには私のおっちょこちょいも役に立ちますね」
エレベーターの中で肩をすくめて見せると、彼がほほ笑んだ。
部屋の鍵はスマートキーになっているらしく、彼が近付くと自然に解錠された。
「これってうちのシステムじゃないですか?」
「あぁ。気に入っているよ。できれば自分がいいと思ったものを顧客に販売したいから中野社長に言って導入した」
ライエッセの仕事内容をしっかりと理解し、私たちとともに大きくしようとしてくれているのだと実感できた。
最初は業界のことを知らない素人が社長になったと眉を顰める社員もいたけれど、彼のこういうことろを見て、今となってはみんな彼に信頼をよせている。