離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
「そのことはもう心配しなくていい。俺が何とかする。絶対に琴葉を守るから」
その目には、強い意志が籠められている。
どうしよう……私。
こんなにも真剣な彼の申し出に、なんというべきなのかわからない。
「俺の気持ちはなにがあっても変わらない。だから琴葉は琴葉で過去じゃなくて未来の俺たちのことをもう一度考えてほしい」
うつむいたままの私に、彼は優しく声をかけた。煮え切らない態度の私を責めるでもなく待ってくれている。
好きなのに応えられない。でもそばにいるから惹かれてしまう。
苦しいのに……彼のそばにいたい。
矛盾だらけの感情を抱えながら、私は彼の家をあとにした。
日常生活を送っていても、ふと彼の言葉が思い浮かぶ。
感情に流されて結論を出していい話じゃない。
私が一番に気にしているのは、お義母さんのこと。私が離婚を受け入れたのは、彼女の願いを聞いたからだ。いくら尾崎さんに離婚を迫られても、拒否していたけれど、お義母さんに言われると受け入れるしかなかった。
お義母さんとの約束を反故にしてしまったら、彼女の北山での立場が悪くなるのではないだろうか。
結婚していた当初、少し話を聞いただけだが事情があって結婚できなかった。心の中で玲司の父親を思い続けているという話を聞いていた。
やっと相手に受け入れてもらえるようになったのに、私が約束をやぶってぎくしゃくしてしまわないか心配なのだ。
それと同じく玲司の立場だって、私の存在が原因で悪くなるかもしれない。ああいった家を重んじる人達にとって、私は目障りに違いない。だからこそ四年前、私は離婚するように迫られたのだ。
「はぁ」
いけない仕事中だった。明らかに処理能力が落ちており仕事が終わらず残業中だ。今までは悩みがあっても、仕事をしていれば忘れられたのに今回ばかりはうまくいかない。
社会人失格だわ。
棚の上にある資料を取ろうとしてのぼった脚立の上でうなだれる。
「えっ、あ!」
余計なことを考えていたせいで、足をふみはずした。落ちると思った瞬間誰かがささえてくれた。
「君塚」
さっきまでフロアに誰もいなかったので、いきなり彼が登場して驚いた。
「お前なぁ、危ないからぼーっとすんなや」
呆れた様子の彼だったが、私が脚立から降りるまで支えてくれる。
「ありがとう。ごめんね」
自分でもそう思う、面目ない。
その目には、強い意志が籠められている。
どうしよう……私。
こんなにも真剣な彼の申し出に、なんというべきなのかわからない。
「俺の気持ちはなにがあっても変わらない。だから琴葉は琴葉で過去じゃなくて未来の俺たちのことをもう一度考えてほしい」
うつむいたままの私に、彼は優しく声をかけた。煮え切らない態度の私を責めるでもなく待ってくれている。
好きなのに応えられない。でもそばにいるから惹かれてしまう。
苦しいのに……彼のそばにいたい。
矛盾だらけの感情を抱えながら、私は彼の家をあとにした。
日常生活を送っていても、ふと彼の言葉が思い浮かぶ。
感情に流されて結論を出していい話じゃない。
私が一番に気にしているのは、お義母さんのこと。私が離婚を受け入れたのは、彼女の願いを聞いたからだ。いくら尾崎さんに離婚を迫られても、拒否していたけれど、お義母さんに言われると受け入れるしかなかった。
お義母さんとの約束を反故にしてしまったら、彼女の北山での立場が悪くなるのではないだろうか。
結婚していた当初、少し話を聞いただけだが事情があって結婚できなかった。心の中で玲司の父親を思い続けているという話を聞いていた。
やっと相手に受け入れてもらえるようになったのに、私が約束をやぶってぎくしゃくしてしまわないか心配なのだ。
それと同じく玲司の立場だって、私の存在が原因で悪くなるかもしれない。ああいった家を重んじる人達にとって、私は目障りに違いない。だからこそ四年前、私は離婚するように迫られたのだ。
「はぁ」
いけない仕事中だった。明らかに処理能力が落ちており仕事が終わらず残業中だ。今までは悩みがあっても、仕事をしていれば忘れられたのに今回ばかりはうまくいかない。
社会人失格だわ。
棚の上にある資料を取ろうとしてのぼった脚立の上でうなだれる。
「えっ、あ!」
余計なことを考えていたせいで、足をふみはずした。落ちると思った瞬間誰かがささえてくれた。
「君塚」
さっきまでフロアに誰もいなかったので、いきなり彼が登場して驚いた。
「お前なぁ、危ないからぼーっとすんなや」
呆れた様子の彼だったが、私が脚立から降りるまで支えてくれる。
「ありがとう。ごめんね」
自分でもそう思う、面目ない。