離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
第六章 真実
第六章 真実
この塀、どこまで続くんだろう。
ものすごく緊張している中でも気になってしまうほど、永遠と続く高い塀。やっと途切れたのは立派なアイアン調の門扉が見えたところだ。
車が近付くと門がゆっくりと開く。その様子に一般庶民である私は驚きを隠せなかった。
「俺がはじめてここにきたときと、同じ反応だな」
隣で運転をしていた彼が、クスクスと笑っている。
「だって、こんなすごいシステム見たことないんだもの」
「だよな。いったいどんな人が住んでいるだろうな」
あなたの実家じゃないの? と、言いかけて彼にとってここはどういう場所なのかと考えた。
実家というと、お義母さんと過ごしたあの家のほうがしっくりくるだろう。それに成人してから父親だとわかった北山会長に対してはどういう感情を抱いているのだろうか。
とりあえず関係は良好だとは言っていたけれど。
どうしても私は身構えてしまう。四年前の離婚は北山家の意向だった。そう思うとどうしても心も体もかたくなになってしまう。
また私が邪魔だと思われたらどうしよう。
「心配するな、なにも問題ない」
私の憂いが顔に出ていたようだ。玲司は車を停めると膝の上にあった私の手をギュッと握って勇気づけてくれた。
玲司が関係が良好だというなら、四年間の間に彼が努力をしてお互いの理解を得たためであろう。
おそらくそうでなければ、私をこの家に連れてくることはないだろうし。
彼に勇気をもらい車を降りた。
家の立派な入口では使用人らしき人が、ふたりの到着を待っていた。
迷いなく玄関に向かっている玲司の姿を見て、彼が間違いなく北山の人間なのだと実感する。
「おかえりなさいませ」