離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
玲司の言葉に顔をほころばせている。お互いの気持ち次第ではあるが、残された人生を共に過ごす可能性があるのかもしれない。
「あぁ、頼んだよ。琴葉さん今日はわざわざ顔を見せてくれてありがとう。儂が言える立場にはないのかもしれないが、息子のことよろしく頼みます」
「はい。お義父様もお体大切になさってくださいね」
私ににっこりと笑いかけてくれたお義父様は「娘もいいな」と笑いながら、尾崎さんの押す車いすでそのまま部屋を出ていった。
「はぁ、緊張した」
途中でお茶が提供されていたのさえ、気がつかないでいた。少し冷めてしまっていたが喉が渇いていたのでちょうどよい。
「琴葉が心配するようなことはなにもなかっただろう?」
たしかに終始和やかに話をした。しかし話の中で持った違和感はいまだに消えていない。
「あのね、変なことを聞いてもいい?」
「あぁ、なんでもどうぞ」
玲司の言葉にホッとする。あまり楽しい話ではないからだ。
「四年前のことなんだけれど。私が離婚を切り出した理由は知っているのよね?」
「あぁ、母から聞いた。今でも申し訳ないと思っている」
この話をすると、玲司の顔が曇る。
「玲司が罪悪感を持つ必要はないのよ。私が勝手に選んだことだから。でもそのことで気になるの、お義父様の言葉が」
「あぁ。そのことなんだが、もう少し時間もらえるか?」
「うん、わかったけど……」
彼も私と同じように思っていたようだ。そしてその違和感の原因に見当がついているようだ。
ここで待っていればいいのだろうか。少し疑問に思っていると部屋にノックの音が響く。
「どうぞ」
玲司が返事をすると扉が開いた。そこに立っていたのは尾崎さんだ。
「玲司様、お呼びですか?」
「悪いね、忙しいところに呼び出して」
当時から北山家の連絡役として、私やお義母さんに指示を伝えていたのは彼だ。だから詳しい事情を知っている可能性があるのでここに呼ばれたのだろう。
相変わらず、感情が読めない表情で淡々としている。丁寧ではあるがそこに心がこもっていないといつも感じてしまう。
私たちが座っている近くまでやってきたのに、私のほうは一瞥すらしない。
「いいえ、お話とはなんでしょうか?」
向こうから話を切り出してきた。
「単刀直入に聞くが――」
そこで一度言葉を切って、玲司は視線を尾崎さんに向けた。
「あぁ、頼んだよ。琴葉さん今日はわざわざ顔を見せてくれてありがとう。儂が言える立場にはないのかもしれないが、息子のことよろしく頼みます」
「はい。お義父様もお体大切になさってくださいね」
私ににっこりと笑いかけてくれたお義父様は「娘もいいな」と笑いながら、尾崎さんの押す車いすでそのまま部屋を出ていった。
「はぁ、緊張した」
途中でお茶が提供されていたのさえ、気がつかないでいた。少し冷めてしまっていたが喉が渇いていたのでちょうどよい。
「琴葉が心配するようなことはなにもなかっただろう?」
たしかに終始和やかに話をした。しかし話の中で持った違和感はいまだに消えていない。
「あのね、変なことを聞いてもいい?」
「あぁ、なんでもどうぞ」
玲司の言葉にホッとする。あまり楽しい話ではないからだ。
「四年前のことなんだけれど。私が離婚を切り出した理由は知っているのよね?」
「あぁ、母から聞いた。今でも申し訳ないと思っている」
この話をすると、玲司の顔が曇る。
「玲司が罪悪感を持つ必要はないのよ。私が勝手に選んだことだから。でもそのことで気になるの、お義父様の言葉が」
「あぁ。そのことなんだが、もう少し時間もらえるか?」
「うん、わかったけど……」
彼も私と同じように思っていたようだ。そしてその違和感の原因に見当がついているようだ。
ここで待っていればいいのだろうか。少し疑問に思っていると部屋にノックの音が響く。
「どうぞ」
玲司が返事をすると扉が開いた。そこに立っていたのは尾崎さんだ。
「玲司様、お呼びですか?」
「悪いね、忙しいところに呼び出して」
当時から北山家の連絡役として、私やお義母さんに指示を伝えていたのは彼だ。だから詳しい事情を知っている可能性があるのでここに呼ばれたのだろう。
相変わらず、感情が読めない表情で淡々としている。丁寧ではあるがそこに心がこもっていないといつも感じてしまう。
私たちが座っている近くまでやってきたのに、私のほうは一瞥すらしない。
「いいえ、お話とはなんでしょうか?」
向こうから話を切り出してきた。
「単刀直入に聞くが――」
そこで一度言葉を切って、玲司は視線を尾崎さんに向けた。