離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
「ただこれだけは言っておく。今後もし四年前のように琴葉を傷つけるようなことがあれば、俺はお前を決して許さない。負の連鎖はここで終わりにしてくれ」
玲司は今までと違い、脅しともとれるようなことを低い声で告げた。
「あなたにとって大切なものがあるように、私にとって琴葉がかけがえのないものだ。そこは肝に銘じておいてくれ」
尾崎さんはなにも言わずにそこに立ち尽くしている。
「そこまでにしてやってくれ」
いきなり扉が開いて、外から入って来たのは会長だった。
「悪いが話は聞かせてもらった。俺のあずかり知らぬところで、まさか四年前にそんなことがあったとは。琴葉さんそして玲司、大変な思いをさせてすまなかった」
私はどう答えていいのかわからずに、だまったまま会長を見つめた。
「わたしは玲司には自由な結婚を望んでいた。だから琴葉さんとの結婚を否定したことは一度だってなかったんだ。それはわたし自身の政略結婚で妻を悲しませたからだ」
玲司も会長と奥様の話を聞くのははじめてだったようで、だまって耳を傾けている。
「妻との結婚は恋愛結婚ではないが、彼女をないがしろにしたことは一度もない。だから玲司の母である恵子には、別れてから妻が存命の間は一度だって連絡をとらなかった」
「そんなこと信じられるか。姉はずっとあの親子の存在におびえていた。子供もできずに夫にも愛されなかった姉の気持ちがわかるか?」
尾崎さんは興奮した様子で肩で息をしている。
「尾崎、誤解だ。私は妻をちゃんと愛していたよ。彼女にまっすぐに向き合ってきた。だからこそ恵子や玲司とは接触をしなかった。もちろん彼女にも儂から話をしたことは一度もない」
「もしかしたら、そのことで隠し事をされていると誤解されたのでは? 実際私は四年前まで自分が北山の人間だと本当に知らなかったので」
尾崎さんは悔しそうに拳を震わせている。
「だったら、姉さんの勘違いだっていうのか?」
会長が悲しそうな顔でどこに視線を向けるでなく口を開く。
「そう思わせてしまったのは、間違いなく儂の責任だな。できた妻だったのに、そんな思いをさせていたとは……。最後まで本当にできた妻だったんだ」
会長は懐から一枚の封筒を取り出した。そしてそれを尾崎さんに渡す。
受け取った尾崎さんはすぐに中身を確認した。
玲司は今までと違い、脅しともとれるようなことを低い声で告げた。
「あなたにとって大切なものがあるように、私にとって琴葉がかけがえのないものだ。そこは肝に銘じておいてくれ」
尾崎さんはなにも言わずにそこに立ち尽くしている。
「そこまでにしてやってくれ」
いきなり扉が開いて、外から入って来たのは会長だった。
「悪いが話は聞かせてもらった。俺のあずかり知らぬところで、まさか四年前にそんなことがあったとは。琴葉さんそして玲司、大変な思いをさせてすまなかった」
私はどう答えていいのかわからずに、だまったまま会長を見つめた。
「わたしは玲司には自由な結婚を望んでいた。だから琴葉さんとの結婚を否定したことは一度だってなかったんだ。それはわたし自身の政略結婚で妻を悲しませたからだ」
玲司も会長と奥様の話を聞くのははじめてだったようで、だまって耳を傾けている。
「妻との結婚は恋愛結婚ではないが、彼女をないがしろにしたことは一度もない。だから玲司の母である恵子には、別れてから妻が存命の間は一度だって連絡をとらなかった」
「そんなこと信じられるか。姉はずっとあの親子の存在におびえていた。子供もできずに夫にも愛されなかった姉の気持ちがわかるか?」
尾崎さんは興奮した様子で肩で息をしている。
「尾崎、誤解だ。私は妻をちゃんと愛していたよ。彼女にまっすぐに向き合ってきた。だからこそ恵子や玲司とは接触をしなかった。もちろん彼女にも儂から話をしたことは一度もない」
「もしかしたら、そのことで隠し事をされていると誤解されたのでは? 実際私は四年前まで自分が北山の人間だと本当に知らなかったので」
尾崎さんは悔しそうに拳を震わせている。
「だったら、姉さんの勘違いだっていうのか?」
会長が悲しそうな顔でどこに視線を向けるでなく口を開く。
「そう思わせてしまったのは、間違いなく儂の責任だな。できた妻だったのに、そんな思いをさせていたとは……。最後まで本当にできた妻だったんだ」
会長は懐から一枚の封筒を取り出した。そしてそれを尾崎さんに渡す。
受け取った尾崎さんはすぐに中身を確認した。