離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
私もまたあの部屋に近いうちに行きたいと思っていたのでちょうどよかった。
「実はあの部屋、オーナーが変わるから退去しないといけないんだ。それで最後に琴葉と一緒に過ごしたいと思ってたんだ」
「そうなんだ。寂しいな」
実質住んだのは短い間だったけれど、思い出のたくさん詰まった部屋だ。その場所がなくなるのは寂しい。
部屋に到着すると、普段住んでいないせいかとても冷え込んでいた。
「ちょっと待てよ。ちゃんと暖房は効くはずだから」
彼がエアコンのボタンを押してしばらくしたら温かい風が室内に流れた。
「ちゃんとメンテナンスしてくれていたんだね」
「あぁ。ここに泊まる日も少なくないからな。だからあのキーケースも受け取れたんだ」
「そっか、あれがあったから、私たちもう一度こうやって一緒にいられるんだね」
「あの店、もうすぐ閉店するらしいから、今度ふたりでお礼をいいに行こう」
「そうだね。早いうちに行かなくちゃ」
あの日注文だけして渡せなかったキーケースが、今のふたりをつなぐなんてあの頃は想像すらしていなかった。
もう二度と彼に会うことはないと思っていた四年間。自分の本音を無視して生きる毎日になれてしまったつもりだったけれど、こうやって今また玲司と過ごすことでもう二度とあの日々には戻りたくないと、強く思う。
もう二度と彼と、離れたくない。
「部屋をあっためているうちに、なにか飲み物用意するね」
物の配置は一緒に住んでいた頃とほとんど変わっていない。お茶くらいなら問題なく用意できるだろう。
「リクエストできるなら、琴葉の淹れたコーヒーが飲みたい。粉は冷凍してあるから」
「わかった。少し待っててね」
久しぶりにキッチンに立ってみると、あの頃見ていた風景がそのまま広がっていた。変わったのはそこにいる玲司が、四年のときを経てますますカッコよくなったことだ。
あやうくぼーっとしてしまいそうになる。ケトルにお湯を入れて沸かしながら、冷凍庫を開けた。
すぐに目当てのコーヒーの粉を見つけて扉を閉める。そのときに冷蔵庫のサイドに貼ってあるメモに目が留まった。
まさかとは思い、思わず凝視してしまう。
「ねぇ、玲司これって、もしかして四年前のメモ?」
「あ……それ」
気まずそうした彼が、リビングからキッチンにやってきた。
「実はあの部屋、オーナーが変わるから退去しないといけないんだ。それで最後に琴葉と一緒に過ごしたいと思ってたんだ」
「そうなんだ。寂しいな」
実質住んだのは短い間だったけれど、思い出のたくさん詰まった部屋だ。その場所がなくなるのは寂しい。
部屋に到着すると、普段住んでいないせいかとても冷え込んでいた。
「ちょっと待てよ。ちゃんと暖房は効くはずだから」
彼がエアコンのボタンを押してしばらくしたら温かい風が室内に流れた。
「ちゃんとメンテナンスしてくれていたんだね」
「あぁ。ここに泊まる日も少なくないからな。だからあのキーケースも受け取れたんだ」
「そっか、あれがあったから、私たちもう一度こうやって一緒にいられるんだね」
「あの店、もうすぐ閉店するらしいから、今度ふたりでお礼をいいに行こう」
「そうだね。早いうちに行かなくちゃ」
あの日注文だけして渡せなかったキーケースが、今のふたりをつなぐなんてあの頃は想像すらしていなかった。
もう二度と彼に会うことはないと思っていた四年間。自分の本音を無視して生きる毎日になれてしまったつもりだったけれど、こうやって今また玲司と過ごすことでもう二度とあの日々には戻りたくないと、強く思う。
もう二度と彼と、離れたくない。
「部屋をあっためているうちに、なにか飲み物用意するね」
物の配置は一緒に住んでいた頃とほとんど変わっていない。お茶くらいなら問題なく用意できるだろう。
「リクエストできるなら、琴葉の淹れたコーヒーが飲みたい。粉は冷凍してあるから」
「わかった。少し待っててね」
久しぶりにキッチンに立ってみると、あの頃見ていた風景がそのまま広がっていた。変わったのはそこにいる玲司が、四年のときを経てますますカッコよくなったことだ。
あやうくぼーっとしてしまいそうになる。ケトルにお湯を入れて沸かしながら、冷凍庫を開けた。
すぐに目当てのコーヒーの粉を見つけて扉を閉める。そのときに冷蔵庫のサイドに貼ってあるメモに目が留まった。
まさかとは思い、思わず凝視してしまう。
「ねぇ、玲司これって、もしかして四年前のメモ?」
「あ……それ」
気まずそうした彼が、リビングからキッチンにやってきた。