離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
「これって、玲司がいつ退院してもいいように作り置きして冷凍していたものにつけていたメモだよね」
『いっぱい食べて元気になってね』というメッセージは間違いなく私の字で書かれている。容器に張り付けていたマスキングテープまでそのまま。メモには四年前の日付が書かれている。
「実はここに来られたのは事故から十カ月くらい経ったころだったんだ。すぐに見つけて食べたいって思ったんだけどさすがに日が経ちすぎてるからやめておいた」
そんなにも時間が経過していたなら、正しい判断だ。
「それは仕方ないけど、どうしてこんなメモが今でもここにあるの?」
食べられないと判断した時点で、廃棄処分したのだろう。なぜこのメモだけがここに残っているのだろうか。
「捨てられるわけないだろう。琴葉が俺に残してくれたものなのに」
少し気まずそうに顔を背けた。
「わかってる、自分でも女々しいって。だけど琴葉につながるものはなにひとつ手放したくなかったんだ」
気まずそうに口にする彼を見て、胸がきゅっと疼いた。気がついたら私は彼に抱きついていた。
「琴葉?」
「女々しくなんてない。あんなひどい言葉をなげつけた私を思い続けてくれてありがとう」
心からの気持ちだった。彼があきらめてしまっていたら、私たちの今はないのだから。
彼は私を抱きしめ返した。彼の力強い腕の中にいると安心とときめきが両方押し寄せてくる。
「会長たちの話を聞いて、少しのボタンの掛け違いが大きな心の傷になるって思ったんだ。巻き込まれた俺たちは迷惑でしかないけれど、それでも色々と考えさせられた」
「そうだね」
お義母さんは会長のことを思って別れを選び、会長もまたお義母さんの意志を尊重した。そして結婚後は奥様を思っていたけれどそれがうまく伝わらなかった。
奥様も会長のことをこころから思っていた。尾崎さんにしても姉を思う気持ちは本物だっただろう。
みんなが誰かを大切に思っていたはずなのに、うまくいかずにたくさん傷ついた。
「だからこれからは、みんなが幸せになる方法を探っていこう」
「そうだね。玲司らしい答えだと思うし、私もそうしたい」
調和を図るのがうまい彼らしい答えだと思う。
「そこで提案なんだけど」
彼は私を抱きしめていた手を緩めて、私を見つめた。
「琴葉、もう一度俺と結婚しよう」
突然のことに驚いた私は、言葉を失ってしまう。
『いっぱい食べて元気になってね』というメッセージは間違いなく私の字で書かれている。容器に張り付けていたマスキングテープまでそのまま。メモには四年前の日付が書かれている。
「実はここに来られたのは事故から十カ月くらい経ったころだったんだ。すぐに見つけて食べたいって思ったんだけどさすがに日が経ちすぎてるからやめておいた」
そんなにも時間が経過していたなら、正しい判断だ。
「それは仕方ないけど、どうしてこんなメモが今でもここにあるの?」
食べられないと判断した時点で、廃棄処分したのだろう。なぜこのメモだけがここに残っているのだろうか。
「捨てられるわけないだろう。琴葉が俺に残してくれたものなのに」
少し気まずそうに顔を背けた。
「わかってる、自分でも女々しいって。だけど琴葉につながるものはなにひとつ手放したくなかったんだ」
気まずそうに口にする彼を見て、胸がきゅっと疼いた。気がついたら私は彼に抱きついていた。
「琴葉?」
「女々しくなんてない。あんなひどい言葉をなげつけた私を思い続けてくれてありがとう」
心からの気持ちだった。彼があきらめてしまっていたら、私たちの今はないのだから。
彼は私を抱きしめ返した。彼の力強い腕の中にいると安心とときめきが両方押し寄せてくる。
「会長たちの話を聞いて、少しのボタンの掛け違いが大きな心の傷になるって思ったんだ。巻き込まれた俺たちは迷惑でしかないけれど、それでも色々と考えさせられた」
「そうだね」
お義母さんは会長のことを思って別れを選び、会長もまたお義母さんの意志を尊重した。そして結婚後は奥様を思っていたけれどそれがうまく伝わらなかった。
奥様も会長のことをこころから思っていた。尾崎さんにしても姉を思う気持ちは本物だっただろう。
みんなが誰かを大切に思っていたはずなのに、うまくいかずにたくさん傷ついた。
「だからこれからは、みんなが幸せになる方法を探っていこう」
「そうだね。玲司らしい答えだと思うし、私もそうしたい」
調和を図るのがうまい彼らしい答えだと思う。
「そこで提案なんだけど」
彼は私を抱きしめていた手を緩めて、私を見つめた。
「琴葉、もう一度俺と結婚しよう」
突然のことに驚いた私は、言葉を失ってしまう。