離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
 再会して彼と向き合う決心をしたのは、ついこの間の話だ。これから離れていた四年間をふたりで埋めていくつもりだった。

「急な話で……驚いちゃった」

 正直に今思っていることを伝える。

「俺としては急でもなんでもないんだけどな。琴葉が俺と違う苗字ってだけで落ち着かない」

 玲司は私の頬に手を当てて、じっと私の目を見ている。まるで心の中を見透かそうとしてるようだ。

「でも考えてもみてくれ。そもそも俺たちが離婚したことが間違っているんだ。だからその間違いを正すだけ――って言い訳がましいな」

 彼はもどかしそうに髪を掻き上げている。

「ごめん、違うんだ。俺が伝えたいのは――」

 綺麗な瞳にとらわれた私は、身動きひとつせずに彼の話を聞く。

「琴葉、愛してるんだ。だから一秒でも離れていたくない」

 ギュッと痛いほど強い力で抱きしめられた私は、彼の言葉に心を締めつけられた。こんなに苦しいほど愛しいと思う気持ち、彼以外には抱かない。

 彼の言う通り、離婚という遠回りをしてしまった。そのぶんずっと一緒にいて空白の四年間を取り戻したい。

「はい。私をもう一度、あなたの妻にしてください」

 私が顔を上げてそう伝えると、玲司の長い指が私の顎をとらえた。

「俺の妻は、生涯で琴葉しかいない」

 彼はそういいながら、私の唇にキスを落とす。

 柔らかい唇が触れ、彼が私の腰に手を回して引き寄せた。それと同時にキスが深くなっていく。息継ぎをしようと唇を薄く開くと、それを待っていたかのように彼の舌が侵入してきた。

「んっ、玲司」

 頭の中は彼でいっぱいで、ほかの事は考えられなくなる。夢中になってキスに応えていると、急に彼に抱き上げられた。

「ちょっと待って、玲司!?」

「待たない。もう四年も待ったんだ。そんな必要ないだろう」

「たしかに、そうかもしれないけど」

 私も玲司もずっとお互いを思い続けていた。だから彼の言っていることは理解できるけど。

「シャワーとか、ほら、あの――」

 バタバタと足を動かして抵抗するけれど、彼はお構いなしに寝室に向かっていく。

「会長や母さんを見ていて思っただろ? 人生は意外と短い。だから待つ時間ほど無駄なものはないんだ」

 そんなふうに言われてしまうと、もううなずくしかない。

「そうだよね、私たちは四年間無駄にしたもの」

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