月の国の姫と星の国の王子
プロローグ
これはとても星空の綺麗な国と月が綺麗な国の物語。
普段は繋がらないこの両国だが、明け方のわずかな時間だけ道ができ、行き来出来るようになるのだ。さてこれは美しくあまり思った事を話すことの出来ない月の姫と明るくてみんなに優しい星の王子の恋の物語。
月の国の姫と星の国の王子は1ヶ月に1度互いの国を行き来していました。会えない日は寂しかったけどその分逢えた時は嬉しかったしまた次会えるのが楽しみになるのでした。
そんなある日の事です。星の国、それは星がキラキラ綺麗で海の近くに星の国の王子のお城がありました。
今日は星の国で二人は会うのでした。

-海辺で-
星の綺麗な海辺二人は来ていました。そして二人は砂浜で隣同士座って貴重なひとときを過ごすのでした。
星の国の王子が月の国の姫を優しく見つめながら言いました。王子様は手を繋ぎたいものの拒まれるのが怖くて手を繋げなかったのです。
『こんばんは、夜になるとやっぱり海辺は綺麗だけど冷えますね。寒くないですか?』
月の国の姫は久しぶりに会う王子様に見つめられてるのに気づいてはいるものの恥ずかしくて頬が少し赤くなってしまっていたので彼の顔を見れず星空を見て誤魔化すしかありません。そして王子様に言いました。
『こんばんは、私は大丈夫。やっぱりこの国の空は澄んでいて星が綺麗ね。』
星の国の王子はそんな素直じゃない月の国の見て可愛いなぁと思うのと同時に少し意地悪したいなって思うのでした。そして王子様は勇気を出してそっと彼女の手を握りながら言うのでした。
『僕が1番好きな景色、貴方と一緒に1度来てみたかったんだ!』
月の国の姫は顔を真っ赤にしながらも彼とつないだ手が嬉しくて彼の方に向いて言いました。
『連れて来てくれてありがとう…。』
彼女はそしてまた星空を見るのでした。
星の国の王子はそんな頬を赤くした彼女の顔をよく見たくて両手で彼女の顔を挟み自分の方に寄せて言いました。
『星ばかり見てないで僕の方も見てよ!1ヶ月に1度しか会えないんだよ。だから、可愛い顔全部全部僕に見せてよ。』
月の国の姫は元々思った事を言えない性格でした。それに加えて恥ずかしいのも合わさって下を向いてこう言って話を変えるしか無いのでした。
『そういえばさ、天気が良くて良かったね。綺麗な星が見えた。』
月の国の姫の照れて慌てて話を変えようと頑張ってる姿は彼のイタズラ心を刺激するだけでした。そんな焦ってる彼女の頬から手を離し少し安心した彼女をよそに押し倒して言いました。
『そうやって照れてるの誤魔化してもダメだよ。こっち向いてよ!それとも僕のこと嫌い?』
月の姫は頭が今にもパンクしそうでした。そして彼の思った事口に出来るところや行動力に少し羨ましくも思うのでした。大好きなのにいざ言葉に出すとなると億劫になって怖くなる。伝えたいのに上手く伝わらない。だからいつも不安でした。そんな彼女が言いました。
『…。す、好きだよ。怖いくらい好きだよ。』
星の国の王子は照れながらも精一杯気持ちを伝えてくれる彼女が愛おしかったのです。そんな彼女を見て抱きしめてキスをするのでした。そして言いました。
『僕と同じ気持ちでよかった。』
彼女は嬉しいのに何が起きているか分からずあたふたするしかありません。
そんな時鐘の音が鳴るのでした。この音は月の国と星の国を繋ぐ道が出来る合図の鐘でした。
内心王子様はこんな時間が続けばいいのに思うのでしたがまだあたふたしている彼女を見て微笑みながら先に立ち上がって彼女に手を伸ばして言いました。
『もう行かないと道が塞がってしまうね、時が経つのは早いね。』
彼女はハッとしながら彼の手を取りながら立ち上がり2人で国と国を繋ぐ道に向かいながら言いました。
『そうだね、急ごう!』

-国と国を繋ぐ道で-
月の国と星の国を繋ぐ道の前で二人は立っていた。
そして月の国の姫は言葉にできない気持ちをどうしても伝えたくてこっそり手紙にしていた。言いました。
『この手紙はさっきの待ち時間で書いたの。恥ずかしいから私が帰ってから開けてね。』
星の国の王子は彼女が気持ちを自分から言葉や手紙にしてくれるのは珍しいのでとても嬉しくてすぐにも開けたい気持ちは山々でしたが胸ポケットに大切にしまい言いました。
『帰ってから読むよ。楽しみだ。』
そして月の国の姫は従者と一緒に帰って行きました。
そして星の国の王子は城に帰ってからそっと手紙を開けるのでした。そこには…
今日見た星綺麗だった。連れてきてくれてありがとう。私は言葉にするのが苦手だからちゃんと伝わっているか不安です。来月会えるの楽しみにしてるね!
そこには短く不器用ながらも一生懸命な月の国の姫の言葉が書かれていました。

エピローグ
これは不器用で思った事を話す事の出来ない月の国の姫とみんなに優しく気持ちをなんでも話す事の出来る星の国の王子のお話。
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