クレジット人間-遊園地から脱出せよ!-
「やめて……」




男の子が少し動くたびにゴンドラが大きく左右に揺れて、下で見ている子たちが悲鳴を上げる。

少しでも体のバランスを崩せばすぐにでも落下してしまいそうだ。

しかし男の子はどうにかゴンドラに上に立ち上がることができたのだ。




「なかなかやるじゃん」




繭乃が楽しげな声を上げる。

本人は生死がかかっていても、見ている方からすれば楽観的なものだ。

きっと、視聴者たちはもっと楽しんでいるに違いない。

そうしている間にもゴンドラはゆっくりと下降を開始しはじめていた。

よかった。

あの子は運動神経もよさそうだし、これならきっと大丈夫。

誰もがそう思っていただろう。

だけど、これはそんなに簡単なものじゃなかったんだ。

男の子が立っているゴンドラが頂上から少し下がってきたとき、途端に観覧車の動きが止まったのだ。
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