クレジット人間-遊園地から脱出せよ!-
「私達帰りたいんだよね。だからここ、開けて」




もう1度言い、シャッターを指指す。

しかしクマは繭乃から視線をそらさない。




「人の話聞いてる?」




繭乃がクマの腹部を手で押す。

クマはびくともせずに繭乃を見つめ続ける。




「繭乃」




心配して智道が近づいていくと、クマが持っていた風船をふたつ差し出してきた。




「そんな風船いらないんだけど。私達子供じゃないし」




繭乃の言葉はクマに届かない。

クマは風船を差し出した状態でとまっている。




「ありがとう」




たまらず智道が風船を受け取る。

けれどその寸前でクマが風船を手放して、2つの風船は風に乗って空へと飛んでいく。
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