クレジット人間-遊園地から脱出せよ!-
「わからないけど、この辺りかな?」




私は大橋くんの胸板に挟まれている中央辺りにふれる。

心臓はすでに止まっているから、教えてくれるはずもない。




「たぶん、そうなんだと思う」




智道が流れてきた汗をジャージでぬぐう。

私は息を止めてメスを胸部に押し当てた。

そして少しずつ皮膚を切り裂いていく。

人間の体が裂かれていく感覚がメスを通して自分の指先に伝わってくる。

それはスーッと音もなく大橋くんの体に穴を開けていく。

思っていたとおり、出血はほとんどない。

ずっと横になっていたようだから、体の下半分に溜まっているんだろう。

ひとまず安心したものの、中に見える臓器に強烈な吐き気がこみ上げてくる。

これは作り物じゃなく、本物なんだ。

そう思うともう我慢ができなかった。
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