クレジット人間-遊園地から脱出せよ!-
私は一旦後ろを向いてきつく目を閉じる。

大丈夫。

これは全部作り物で、私は医療ドラマに出ている女優よ。

頭の中で呪文のようにそう繰り返す。

ベルトコンベアーの上に乗っているのは精密に作られたただの人形。

本物の人間じゃないんだから。

どうにか気持ちが落ち着いてきて再び大橋くんへ向き直った。

メスで切り裂いたところが大きく開いている。

この奥に心臓があるはずだ。




「傷口を広げてて」



「まじかよ……」




さすがにここから先はひとりでは難しい。

智道は顔をそむけながら傷口に両手を突っ込み、押し広げてくれた。




「心臓……、たぶん、これかな?」
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