クレジット人間-遊園地から脱出せよ!-
へなへなとその場に座り込んでメスを取り落とす。

地面には少量の血が流れていたけれど、気にしている余裕もなかった。

この1時間ほどで何年も年を重ねてしまったように感じられる。

もう、立ち上がることも億劫だ。

座り込んで呼吸を整えていると、ベルトコンベアーの向こう側で智道も同じように座り込むのが見えた。

部屋は遺体が腐敗しないように寒いくらいになっているのに、私と同じように汗だくだ。

呆然と座り込んでいるところも、モーター音がして天井からモニターが降りてきた。

私はベルトコンベアーに捕まるようにして膝立ちになる。

モニターの中にはさっきの黒スーツの男の姿があった。




「おめでとう。この仕事を初日からやってのけたのは君たちが初めてだと」




クマの面をかぶった男は満足そうに何度も頷いている。




「でも、これで終わりじゃないんでしょう?」
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