クレジット人間-遊園地から脱出せよ!-
私と智道は顔を見交わせてほほえみ合う。

うまくいった。

私はチラリと建物の壁に視線を向ける。

そこはガラス窓になっていて、薄暗いこの場所では周囲の景色が鏡のように写り込んでいるのだ。

ふたりの手元が、私達には丸見えだった。

他のチームが不正を行ってババ抜きに勝利していたのを思い出し、とっさにこのポジションを確保したのだ。

智道も、すぐにそれに気がついて私の横を確保した。

私と智道が建物の裏に逃げ込んだのは偶然だったけれど、それが私達に勝利をもたらしたのだ。




「さすがだなぁ。すごいなぁ」




クマが関心したようにぼふぼふと手を叩く。

タブレットで画面を確認しているから、視聴者たちも大いに盛り上がってくれたんだろう。

でも、もうおしまいだ。

私達は動画の視聴者を喜ばせるためのパンダじゃない。

クマが後ろを向き、尋と繭乃を連行していく。

私と智道はもう1度目を見交わせると、同時に駆け出した。

後ろからクマに突撃して、そのまま一緒になって横倒しに倒れる。

突然のことでクマは抵抗できないし、着ぐるみのせいでなかなか起き上がることができない。

私と智道はクマの体の上に馬乗りになっていた。
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