クレジット人間-遊園地から脱出せよ!-
それはそうかもしれないけれど、今は脱出のことを考えるべきだ。

私はもう返事をしなかった。

男の子たちが力づくでシャッターを開けようとしているのを見守る。

少しでも歪んでくれれば、少しでも隙間が空いてくれればそこから希望が見えてくるはずだ。

知らない間に両手を胸の前で組んで拝むようなポーズをとっていた。




「それにしても暑いよね。ホテルで涼みたい」




繭乃がぶつぶつと文句を言って手の甲で汗を拭う。

さっきから衝撃的な出来事の連続で、暑さのことなんて忘れてしまっていた。

気がつけば私の額にも汗が滲んできていた。

長時間ここにいることはできなさそうだ。

シャッターを開けようとしている男の子たちの間にも、明らかな疲労が感じられた。

一旦休んだ方がいいのかも。

尋と智道に声をかけようとしたとき、ピンポーンと園内チャイムが鳴って私は動きを止めた。

こんな風にチャイムが鳴ったのは初めてのことだ。

男の子たちも動きを止めて不安そうな表情で耳を済ませている。

辺りは急に静けさに包まれた。
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