毒殺されて生まれ変わった聡明な公爵令嬢は、「君を殺したのは、俺なんだ」と告げる謎多き隣国の公爵子息に溺愛される
「私、浮気性の男は嫌いですわ。だから私にアピールしたいなら、付き纏《まと》う女など自分で振り払ってくださいまし」
「その代わり、アルト様の愛を信じますわ」
アルト様が一歩だけ私に近づく。
「つまり俺の愛を信じる代わりに、賭けは勝たせろと?」
「ええ。私、一途な男の人が好みですもの!」
その瞬間、アルト様は吹き出した。
「ははっ!いいよ、この賭けは君の勝ちでいい。・・・それで、本当に俺の愛を信じてくれるの?」
「ええ」
私ははっきりそう述べると、アルト様は今まで見たことがないほど嬉しそうに微笑んだ。
初めて見るアルト様の表情に、顔に熱が集まるのを感じる。
「・・・それで、質問は何にするの?」
私は一度目を瞑《つぶ》り、気持ちを落ち着かせる。
そして、顔をゆっくりと上げた。
「アルト・レクシア様。貴方は【レータ・カルデ】ですか?」
まず、そのことを確認しなければ何も始まらない。
私の質問にアルト様は予想通りとでもいうように簡単に答える。