毒殺されて生まれ変わった聡明な公爵令嬢は、「君を殺したのは、俺なんだ」と告げる謎多き隣国の公爵子息に溺愛される
「あんな馬鹿な王子、放っておけば良いだろう?」

「あれでも、昔は可愛らしかったのですよ?」

「君がリーネ・フローリアであった時の話か?」

「ええ。会ったのは数える程しかありませんでしたが、真面目な王子でしたわ」

すると、急にアルト様が静かになる。


「どうされましたの?」


「・・・あの馬鹿王子が、リーネに惚れたらどうするんだ」


「っ!?何を仰いますの!?」

「あの男爵令嬢に騙されるような惚れっぽい王子だ。リーネの魅力に今更気づいてもおかしくない」

「そんなことあり得るはずがないでしょう!」

私が否定しても、アルト様の機嫌は直らない。



「・・・もしかして、拗ねてらっしゃるのですか?」



私の指摘にアルト様はそっぽを向いて、何も仰らない。

「私のことを好きだと仰るのは、アルト様くらいですわ」

「・・・君は自分の評価が低すぎる。君ほど聡明で、美しく、それでいて明るく・・・」

「ちょっと待って下さい!そんなに褒められては恥ずかしいですわ!」

私は頬を赤らめると、急にアルト様の機嫌が直る。
< 47 / 72 >

この作品をシェア

pagetop