毒殺されて生まれ変わった聡明な公爵令嬢は、「君を殺したのは、俺なんだ」と告げる謎多き隣国の公爵子息に溺愛される
「・・・・3秒だけですわ!」


私はそう述べると、そっとアルト様に抱きつく。


「1、2、3・・・3秒経ちましたわ!これで書斎の本を調べても良いのですよね!?」


私はアルト様から離れようとした瞬間、アルト様がもう一度私を抱きしめる。


「全然足りない」


「約束と違いますわ!」


「俺はそんな約束頷いていない」

「っ!アルト様は意地悪すぎますわ!」

私がアルト様から離れようとジタバタと暴れるのを、アルト様が強く抱きしめ制止する。



「リーネ、俺から離れないで・・・それとも、離れられないようにもっと強く抱きしめようか?」



そう仰って私を抱きしめる手にアルト様はさらに力を込めた。



「離して下さい!」



「ねぇ、リーネ。次の賭けをしようか」



「え・・・?」



「次の賭けでリーネが負けたら、俺と結婚して」



抱きしめられているので、アルト様の顔は見えない。

しかし、声色から真剣さが伝わる。
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