毒殺されて生まれ変わった聡明な公爵令嬢は、「君を殺したのは、俺なんだ」と告げる謎多き隣国の公爵子息に溺愛される

「学んだことは消えませんわ。私たちの糧になります。絶対に」


アルト様の目から涙が溢れる。


「首筋のネックレスを確認した時、嬉しくて震えそうだった。リーネを幸せにしたかった。いや、君の笑顔をもう一度そばで見たかった」

「あの8歳の日、一度だけしか会っていないリーネにきっと俺は惹きつけられた。10年経った後もリーネを知るたびに愛しくなっていった。ただただ君の幸せだけを願ってしまうほどに」


アルト様の涙は止まらない。

たった8歳にして、養父を失い、一人ぼっちになったのだ。そして、その養父を死なせたのも自分だと追い詰め続けたのであろう。


私も気付けば、涙が溢れていた。


私はアルト様に近づき、そっと抱きしめた。
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