僕はまだ此処にいる
 春休み明けで、皆が新しいクラスで仲良い人を作ろうと奮闘している中、僕はずっと君のことを見ていた。そんな僕を何故か気に入った、田中勇輝(タナカ ユウキ)とかいう奴と仲良くなった。まあ、主に向こうが話しかけてくるんだけど。

 勇輝はよく君のことが好きなのかを尋ねてきた。けれど、僕は本当のことを言うのが恥ずかしくて、「勝手に言ってれば」とかしか言えなかった。


 君が大好きな桜が散りゆく季節の金曜日。君は友達と楽しそうに話していた。

 それをずっと見ているうちに、心臓が高鳴っていくのが分かった。馬鹿みたいに心拍数は上がっていった。

 それでも君から目を離せなかった。そして、また前みたいな関係性に戻りたいと思った。けど、そんな簡単に僕から君に話しかけるなんてことは出来なかった。

 だから、前みたいに話しかけてほしかった。あの笑顔を僕に向けてほしかった。



 でも、それは叶わなかった。
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