御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
日本や世界の歴史。こっちは絵画本か・・・経済に、こっちはビジネス本か・・・

じっくり本棚を見ながら移動していると、上の棚に向かって、背伸びしながら、手を伸ばしている女性がいた。
面倒にならないように声を掛けず、通り過ぎようとしたけど、あと少しで手が届かない。
仕方ないか・・・

「どの本ですか?僕が取りますよ」
「あっ、すみません。そこの『秘書の基本』という本を、取っていただけますか」
俺はその本を取り、その女性に渡した。
「ありがとうございます」
静かに微笑む清楚な女性。
どこかで見た覚えがあるような・・・
あ、赤斐さんか!?

下ろした髪を耳に掛け、眼鏡を掛けていない。
色白の小さな顔に、薄いピンクのグロスを塗ってふっくらした唇が映える。
二重瞼のつぶらな瞳が、俺を見つめる。
本当に・・・あの赤斐さんなのか・・・

「い、いえ、どういたしまして」
赤斐さんは、俺に気付くことなく、頭を下げて、その本を持って机で読み始めた。
秘書の本か・・・
北郷さんのサポートをするために、勉強してるってことか・・・
それにしても・・・
なんだ、このざわめく胸の感じは・・・
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