御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
陸には、優しく微笑んだり、声を出して笑ったり、赤く頬を染めて恥ずかしがったり・・・
もう1人の俺に、きっと彼女は気持ちが傾いている。
俺は・・・もう1人の俺、陸に嫉妬してる。

土曜日はいつも通りに、赤斐さんは黙々と勉強をしていた。
俺はビジネス本を読んでるけど、殆ど頭に入ってこない。
「陸さん、すみません。読書の邪魔をしてもいいですか?」
「あ、あぁ、もちろん」
「ここ教えてください。調べても単語が見つからないし、文脈も難しくて」
「いいよ。どこ?」
赤斐さんの隣に座って、説明を始める。
体温を感じるくらいに傍にいることを、意識してしまうほど、俺は赤斐さんを好きになっている。

「じゃあ、ここはどうですか?」
耳に髪を掛け、俺の方を向くと、目の前に顔があり、ドキッとした。
この俺が、翻弄されるなんて・・・
今まで抱いたことのない感情に、俺は戸惑うばかりだった。

「あっ、すみません。もうこんな時間でした。私、そろそろ帰りますね」
「送って行くよ」
「いえ、私、明日のケーキの材料を買いに、駅の方に向かいますから。あの・・・」
赤斐さんが、頬を赤らめて、俺を見つめた。
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