御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
こんな私が妊娠したって知ったら、お母さん、お父さんが居なくなってから、父親代わりのお兄ちゃんは、特にびっくりするかも。
いつも1人で本を読んでいた私を、心配してたから。

空斗さんから連絡があったら、その時伝えよう。
不安と嬉しさの気持ちを抱きながら、家に向かった。

図書館の近くを通りかかると、似つかわしくない黒光りの大きな車が止まっていた。
その横を通り過ぎると窓が開き、
「赤斐さん、ですよね」
声を掛けた人を見ると、空斗さんのお父さん、社長だった。
「は、はいっ」
「少し、時間あるかね。話があるんだ」
「はい・・・」
私は車の後部席に乗り、社長の横に座った。
社長は私の方を見ず、険しい顔をしている。

「最近、土日の空斗の様子が変だから、調べさせていたんだよ。君と会っていたんだね」
「・・・」
「色々言いたいことはあるが、率直に言おう。もう、空斗には関わらないで欲しい」
社長は、そのまま、淡々と話し出した。
「今、空斗がイギリスに行っている事は、知ってるね」
「はい・・・」
「目的は、婚約者に会うためだ。相手はイギリスの名家のお嬢さんだよ」
私は、びっくりして、声が出なかった。
「その様子だと、知らなかったようだね」
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