御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
1週間後、北郷さんが赤斐さんを連れて、専務室に入って来た。
「空斗様。こちらが赤斐さんです」
「赤斐です。本日から宜しくお願いします」
俺の顔を見ても、表情ひとつ変えず挨拶をする赤斐さんに、
「宜しくお願いします。私の事は気にせず、北郷さんの指示を受けてください。では失礼」
それだけ告げて、すぐに自分の仕事に取りかかった。

「赤斐さん、専務室を案内しますね。こちらが秘書室ですから、赤斐さんは、こちらで仕事をしていただきます」
2人は、北郷さん専用の秘書室に入って、赤斐さんは説明を受けていた。

「念を押しますが、専務に興味を持ったり、仕事以外の感情を持った場合は、即、異動となりますから。宜しいですか?」
北郷さんは、小さな声で話をしてるつもりらしいが、しっかり聞こえてる。
「はい。でも、先日も言いましたが、私は専務みたいなタイプの方に、興味はありませんし、どちらかというと苦手ですから、大丈夫です」
と、淡々と話す赤斐さん。

何?日本屈指の名家、世界でも名の通る國宮グループの御曹司で、専務の俺に興味が無いだと?
自分で言うのも何だが、容姿も悪くない。

『興味が無い』

その方が助かるはずが、今まで言われたことの無い言葉に、込み上げる屈辱。

北郷さん、悪いな。きっと赤斐さんも異動になるよ。
赤斐さんのその言葉、いつか撤回させてやるから。
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