御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
私は、空斗さんの腕の中から離れ、
「・・・違います。この子は、陸さんの子です。空斗さんの子供じゃありません。だから、安心して、イギリスの婚約者の方と幸せになってください」
涙を堪えながら、空斗さんに訴えた。
そう、この子は陸さんの子として、私は1人で育てる覚悟をしたから。

空斗さんは私の頬を撫で、
「だから・・・それって、俺の子じゃないか・・・」
潤む目で私を見つめていた。
「空斗さんの前には、2度と現れませんし、誰にも言いません。だから・・・お願いです。この子まで・・・私から奪わないで下さい・・・」
空斗さんは、悲しさに我慢が出来ず、泣き崩れる私を、支えるように抱きしめた。

「イギリスの婚約の話は破棄してきた。迎えに来たよ、華。俺の妻になって貰うために」
「でも・・・社長が・・・」
「俺の妻は俺が選ぶ。それ以上でもそれ以下でもない」
「空斗さん・・・」
「まずは、華のご家族に許して貰わないと・・・連れて行ってくれる?」
私は小さく頷き、実家に向かった。

「お母さん、お兄ちゃん、話があるんだ。実は、お腹の子のお父さんが迎えに来てくれたんだ・・・」
「えっ?」
何も言わなかったけど、2人とも私が捨てられたと思っているから、表情が強ばっていた。
「初めまして。國宮空斗と申します」

2人は、まさか國宮グループの御曹司が父親だと思わず、無言だったけど、お兄ちゃんが口を開いた。
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